乳幼児期は排尿反射抑制機構が未発達なため、一定量の尿が膀胱にたまると
無意識に反射的に排尿が生じます。
成長するにつれ、排尿調節機構が完成し、随意に排尿することが可能となり、
夜間睡眠中でも覚醒し排尿できるようになります。
通常、排尿抑制機構が完成する4歳異常になっても夜間の遺尿がつづく場合を
夜尿症と呼びます。
[症状]
夜尿症の子供は日中の頻尿,尿意切迫を伴うことが多い。
また、睡眠の深度が深く、かつその時間が長い。
排尿のコントロールが可能となってから起こる二次性夜尿症では
精神因子の関与が強い。生来、夜尿が続いている一次性夜尿症では、
器質的疾患を伴うことがある。
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東洋医学的には・・・
夜尿症とは夜間睡眠中に尿をもらすことで、児童によくみられ「遺尿」といいます。
< 腎気虚による夜尿症 >
[病態]
腎は封蔵,気化を主っており、膀胱は尿の貯蔵,排泄を主っている。
腎気が不足しているために固摂機能が弱く、
そのために膀胱が尿を制約できないと夜尿症が起こる。
腎気,腎陽が弱いと温煦機能も弱いので寒がり,四肢の冷えなどを伴うこともある。
夜尿は一夜に1~2回起こり、回数が多いものもある。
腎気を補い、その固摂機能の向上をはかることが重要となる。
< 脾肺気虚による夜尿症 >
[病態]
肺は全身の気を主り、水道を通調し、水を膀胱に下輸する機能がある。
また脾は水穀を運化し、水を制御している。脾肺気虚のため上虚となり、
下を制御できなくなり、そのために膀胱が尿制御できなくなると夜尿症が起こる。
倦怠感,食欲不振,泥状便などの症状を伴う。
夜尿の回数は多いが量が少ないという特徴がある。
脾肺を補い、下焦の調節する必要がある。
参考文献:
『東洋医学臨床論』 医道の日本社