日本では妊娠を望む男女のおよそ10%が不妊症であるとされています。
従来、不妊の原因は女性側にあるとされてきましたが、現在では、
男性側に問題があるケースが約40%、女性側に問題があるケースが40%、
両性に問題があるケースが15%、原因不明な場合が5%あるとされています。
原因は主に以下に分類されると示唆されています。
【性分化異常】
Y染色体上の異常など様々な遺伝子異常、染色体異常が知られています。
半陰陽、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、先天性副腎皮質過形成、
精巣性女性化症候群などは不妊となることがよく知られています。
【女性の疾患による不妊】
妊娠を行うには排卵し、受精し受精卵の輸送を行い、着床をする必要がありますが、
これらのうちどれかが障害されると女性因子による不妊症となります。
内分泌・排卵因子、卵管因子、子宮因子に分けて考えられ、
頻度として卵管因子によるものがもっとも多いと考えられています。
【男性不妊】
男性不妊の原因は精子の形成や成熟ができない造精機能障害、
精子の輸送経路が障害されている精路通過障害、
精嚢、前立腺の炎症によって精子が影響を受ける 副性器の障害、
性交、射精ができない性機能障害が知られています。
特に造精機能障害が多く全体の70-80%を占めるといわれており、
男性不妊では精液分析を行う必要があります。
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東洋医学的には・・・
腎が病むことにより生殖機能が低下し、不妊症や陽萎(インポテンツ)などが
引き起こされると考えます。
腎には「蔵精を主る」「水液代謝を主る」「生殖,成長発育を主る」「納気を主る」と
いう生理機能があり、生命力の根源である原気をもたらします。
腎の病の原因には、両親からうけつぐ先天の気の不足があり、
過度の房事,栄養の吸収不良,高齢,慢性疾患などがあります。
治療方針としては、
①「熱」を失わないようにすること、また「熱」を増やすこと。
②「腎」の負担を少なくすること
腰や膝の軟弱化や冷え、寒がり等の症状を伴うことが多いので改善することを目標にします。
また、不足している「気」を後天的に補うのは「脾」の役目ですから、
脾の作用を高めることも重要となります。